トマホーク解体新書【2回目】

トマホーク解体新書:780円→0円
期間:2017年5月27日16時~28日15時59分

 上記期間中は、対象タイトルの本を無料でダウンロードできます。本の無料キャンペーンは微妙に時間ズレるかもしれません。この機会に是非読んでいただければと思います。宜しくお願い致します。


 下記のブログカードはsuimon先生による紹介記事です。著者としては思わず何度も読んでしまう記事・・・ツイートでも述べましたが、「魂」に反応しているのだと思います。気概や熱量という表現より、しっくりくる感じ。ありがとうございますm( __ __ )m


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三間飛車リテラシー

 ノーマル三間飛車を指した事がない方にもわかりやすく現代の序盤事情を紹介しようと思う。結構、アマチュア間ではスペシャリストの戦法という風に考えられる方も多いのではないか。プロだと中田功先生が職人と呼ばれる指し回しを見せたり、左銀の自由度から一人一流派といわれる事などからそうしたイメージを持たれるのだと推測している。

 ここでは背景も含め、簡単に現代版ノーマル三間飛車までの道を案内したい。実はトマホーク解体新書の記事として掲載する予定だったのだが、ちょっとテーマがズレるのとレイアウト&帰結点がイマイチだと判断して見送った経緯がある。このブログのテーマはタイトルの通り、タップダイスの三間飛車。私が思うところをサラッと書いていくとしよう。一応断っておくが、穴熊関連の話題はトマホークのみとさせていただく。


【ノーマル三間飛車の序盤変遷】
 2017年現在、アマチュア間でもほとんど指されない形は相当な数がある。古き良き時代の急戦をみていこう。

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A図:速攻▲4五歩
B図:超急戦

 A・B図の将棋は「三間飛車VS超急戦」で詳細な変化を解説させてもらった。興味があれば読んでいただきたいが、基本的に実戦で現れる事は稀だ。これらの将棋は最序盤で居飛車が仕掛け、三間飛車側はカウンターを決める流れになる。結論が出ているのに加え、居飛車の玉形が薄いのに対し、三間飛車側の玉形は堅い(戦いながらケアしやすい)のが相当大きなポイントとなっており、直接的に指されない要因となっている。

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C・D・E・F図:▲4五歩早仕掛け

 本流(C図)、△5四銀型(D図)、鈴木流(E図)、5筋不突き△4三銀型(F図)の将棋も居飛車の玉形が薄い。対して、三間飛車側はしっかりと美濃囲いに収め、強い戦いのできる状態だ。この事から実戦的に居飛車が勝ちにくい傾向にあり、急戦のスペシャリストと対局しない限り遭遇しない戦型となっている。各局面図の優劣はここでは省略させていただく。ちなみに、△4三金型もある。(局面図省略)

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G図:右四間飛車

 後手ノーマル三間飛車では受けられないとされる形。先手番のみ三間に振るのがポイントである。基本的に飛車の筋が一路外れているから、攻めをいなしやすい。もともと角道を開けて捌きたいのが振り飛車の思想にある為、苦手意識を持つ三間飛車党は少ないと思われる。この将棋は右四間飛車党と対局する事があれば遭遇するものの、全体的に効率の良い指し方ではないという認識。現代将棋でも減少傾向にある。

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H図:▲3五歩早仕掛け
I図:斜め棒銀
J図:三歩突き捨て
K図:棒銀

 ここに挙げた戦型以外にも急戦は存在する。▲4六銀型・3七桂、二枚銀、鳥刺しなど・・・いずれも共通しているのは居飛車の玉形が薄いという点。三間飛車側がしっかりと美濃囲いに収めている為、仕掛け以降の攻防による反動が厳しくなる。これを現代将棋では嫌う傾向が強く、振り飛車の美濃囲い以上に堅い囲いを目指すという思想へ移って行くわけだ。もともとノーマル三間飛車は3筋に飛車を配置している為、急戦に強いという特徴があるのも指されにくい要因の一つである。

 左美濃、銀冠、穴熊に対して、振り飛車は美濃囲い→高美濃→銀冠と発展させる事ができるが、それでは単純に堅さ負けしてしまい、五分の捌き合いだと勝てない。では、どうするべきなのかという試行錯誤の時代があり、振り飛車から急戦を仕掛ける事となる。そう藤井システムの登場で一気に流れは急戦調の将棋へと移って行く。これは1つの革命・・・元来、ノーマル系の振り飛車はカウンター戦術とされており、自ら攻めるという発想がなかった。それを変えたのが藤井イズムなのだ。


【穴熊を巡る作戦の優劣と背景】
 トマホーク(L図)によって、5筋不突き穴熊も安全に組めるわけではないというのが常識になりつつある。そこで、居飛車も安全に玉を堅くする為、左美濃→銀冠→穴熊という作戦にシフトするわけだ。

 2017年現在の序盤事情として、ノーマル三間飛車は銀冠穴熊に苦戦している。何故、ノーマル三間飛車に対して、銀冠穴熊(M図)が有効なのか明示しておきたい。他の振り飛車と違い、速攻が利かない(ノーマル三間飛車側からの攻め)為、居飛車はより安全に左美濃→銀冠→穴熊へシフトする事ができる。当たり前だが、ノーマル三間飛車は飛車が3筋にいるので角道を開ける手段がやや弱いという側面も大きなポイントとなっている。
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【従来】5筋不突き穴熊>5筋突き穴熊>銀冠穴熊
 ノーマル三間飛車側が一直線に穴熊を目指す指し方に急戦で対抗する術のなかった時代。ノーマル三間飛車には一目散に穴熊へ組んで十分というのが定説だったので、無条件に3~4枚穴熊へ組めるという認識の下指されていた。居飛車穴熊対策は数こそあるが、決定版となるものは存在しなかったのだ。(代表例:コーヤン流、カナシス、石田流組み換え、楠本流、真部流、向かい飛車転換、永瀬流端桂など・・・)

【2013年~2015年】5筋突き穴熊>5筋不突き穴熊>銀冠穴熊
 トマホークが広まった結果、居飛車が早々に5筋を突いて妥協するようになった。そもそも、5筋を突いた穴熊は優秀なので簡単に攻略できない。一対策として三間飛車版藤井システム(N図)がある。いわゆる久保システムにより、相当難しい事がわかってきた。とはいえ、それも右銀待機型(O図)で組まれると厳しい。

【2016年~2017年現在】銀冠穴熊>5筋突き穴熊>5筋不突き穴熊
 ノーマル三間飛車は穴熊に対して急戦策を工夫するわけだから、左美濃→銀冠を作ってから穴熊へシフトすれば安全に組めるのではないか。という流れが生まれている。銀冠穴熊自体は、通常の穴熊より堅さで劣る。しかし、上部への厚みとバランスに優れており、対ノーマル三間飛車戦において見直されてきているのだ。近年、急速に進化するコンピューター将棋ソフトが銀冠穴熊で高勝率を上げている事もあり、その優秀性は認知されたと考えていいだろう。
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タップダイス

Author:タップダイス
将棋倶楽部24四段の三間飛車党。
2014年から本格的な執筆活動に着手。現在も電子書籍を手がける。
著書に「アブノーマル三間飛車」、「続アブノーマル三間飛車」、「トマホーク最新研究」、「三間飛車VS超急戦」、「トマホーク解体新書」、「棋書作成マニュアル」がある。(Kindle)

https://twitter.com/Taps_dies
https://note.mu/taps_dies

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